リベルサス・ウゴービとは

ウゴービは2024年2月保険適用の肥満症治療薬として発売されました。この薬は食べ物を摂取したタイミングで血糖値を下げ、脳の満腹中枢に働きかけて食欲も抑制します。これらの作用で体重を減少させる薬です。

有効成分であるセマグルチド

セマグルチドはGLP-1を合成した化学物質です。GLP-1はもともと体内にあるホルモンで、血糖値を下げる働きがあります。食事すると小腸からGLP-1が分泌され、すい臓に達するとこれをきっかけにインスリンが放出されて血糖値が下がります。ウゴービはこれを体外から補充します。GLP-1受容体作用薬とよばれます。

肥満予防薬アライ(オルリスタット)との違い

同じく2024年に発売予定のアライ(オルリスタット)は肥満症を予防するリパーゼ阻害薬で、肥満症を治療するウゴービ(セマグルチド)とは異なります。

肥満治療-予防薬比較

本来は厳しいウリベルサス・ゴービの処方条件

リベルサス・ウゴービは誰にでも処方してもらえるものではありません。2型糖尿病などを患う肥満症があり、食事・運動療法を行っても十分な効果が得られない人で、様々ある肥満に関連する健康障害を持つ人が対象です。また、処方が行えるのは大学病院などに限定されました。

この条件を具体的な数字であてはめると、BMI35(BMI:ボディマス指数。体重と身長から算出される肥満度を表す)の人は身長が160cmであれば約90kgとなります。この他に健康障害を持っていることが条件なので、「ぽっちゃり気味だから痩せたい」から気軽に治療を受けられるわけではありません。

処方条件リベルサス

注射薬ウゴービと経口薬リベルサス

ウゴービは自身で注射を行いますが、同じ有効成分「セマルグチド」同じ成分を持つ薬としてリベルサスがあります。メディカルダイエットと称し「GLP-1ダイエット」名前などで、自由診療での処方を行っているクリニックがいくつか存在します。

セマグルチド注射と経口

いわゆるGLP-1ダイエット薬に懸念されること

これらの薬には胃の不快感や下痢といった消化器症状の副作用があらわれます。本来は2週間に1度程度の割合で専門医が診察し、経過をみながら処方量を増やすなど慎重に対応するべきものとされています。肥満症でない人がいわゆる「やせ薬」として不適切に使用すると、低血糖や膵炎、胆石など重篤な副作用が発生する恐れもあります。

健康な人が美容目的でこれらの薬を使用することの有効性、安全性は確認されていません。特に低血糖については命にかかわる可能性もあるため、これらの薬の選択にはじゅうぶんな慎重さが必要です。

副作用リベルサス

また、医療現場では糖尿病治療のために真に必要とする患者に薬が行き渡らないという懸念から、2023年には製薬企業が出荷制限を行いました。日本肥満学会や厚生労働省も、美容・痩身など美容目的でこれらの薬を使用すること(目的外使用)をやめるよう呼びかけています。

厚生労働省ロゴGLP-1受容体作用薬の適正使用について(厚生労働省)

食事・運動療法が十分に行っているつもりでも肥満が解消できない場合は、肥満をしにくい体質に改善する漢方薬の服用で、これを助けることが出来ます。

アライの代替手段(医療用漢方)

肥満は、よく知られていることではありますがエネルギーの摂取が消費を上回る状態が続くことで起こります。このことは漢方でいうところの「実証」という状態であると言えます。さまざまある漢方のうち、肥満の方に処方される代表的な漢方「防風通聖散」です。

医療用漢方