つけ心地の良いクリーム状の女性ホルモン補充剤 バストミン

女性の更年期障害は、閉経の前後10年くらいの間で加齢やストレスにともなう女性ホルモンの分泌不足で起こります。ほてり、のぼせ、冷えやイライラなど心身に多様な症状がみられ、こうした症状はひとつに定まらないため「不定愁訴」と呼びます。また更年期以降は、外陰部と腟が萎縮することがあり、かゆみや炎症が起きたり、陰部が潤いを失うことで性交痛なども生じることがあります。

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バストミンは体内で不足している女性ホルモンを皮膚から少しずつ吸収できるので、更年期障害に伴うこれら不定愁訴や不感症、性交痛などの改善が期待できます。無香料でクッション性がありひんやりとしたつけ心地で、全身に使いやすく出来ています。

バストミンの使い方

塗布する量 バストミン使用量チューブ先端部から1cmほどを指先にのせる
*この薬の必要量は個人差があるので、はじめは1日チューブから3mm程度の量で試しながら、最大量:1回につき約12mmを1日2回まで、適宜増量してください。
塗布する回数 1日1回(入浴後から就寝前)
又は2回(朝と晩)
塗布する箇所・方法 指先にのせた薬剤を腕や脚・腰または外陰部などにうすく広くのばしてすり込む。
*この薬は膣内部には使わないでください。膣内部への塗布には「ヒメロス」が適しています。
塗布と生理のタイミング

・生理終了後から2週間使用し、その後、次の生理が終わるまで使用を休む。
・閉経後の方、生理不順で長く生理がない方はすぐ使用できる。2週間使用後、2週間以上使用を休むサイクルです。妊娠中は使うことが出来ない。
・症状が泌尿・生殖器の場合は外陰部に塗布する。(膣内内部は避ける→膣内部への塗布にはヒメロスが適しています)

バストミン塗布周期

塗布をやめるタイミング

症状が軽快すれば使用を止める。再発した場合は、再び同様の方法で使用する。

ピル(避妊薬)との併用はできません

注意:ピル(及び女性ホルモン製剤全般)との併用は、避妊率への影響、卵胞ホルモンの過剰投与に伴う不測の事態を高める可能性があるので、決して行ってはなりません。

バストミン概要

製品名 バストミン
製品特長 女性ホルモンクリーム剤(指定第2種医薬品)
外装箱イメージ バストミン外箱
製品イメージ バストミンチューブ
効能 婦人更年期障害、卵胞ホルモン不足により欠落症、女性生殖器発育不全、無月経、月経困難症、月経周期異状、卵巣機能障害、不正子宮出血、乳汁分泌不全、不妊症、不感症、四肢冷感症
成分分量 3g中 エチニルエストラジオール  0.02g
エストラジオール  0.06g
処方価格 3,000円(約24回分)
製造会社 大東製薬工業
添付文書添付文書
添付文書ENpackage insert Bustomin 添付文書CN女性激素乳膏剂 芭斯多敏
*バストミン使用上の注意はこちらを参照

バストミンとヒメロスとの違い

有効成分と含有量は変わらないので効き目は基本的に同じです。これらの最大の違いは基材の違いです。日本薬局方の規定によりバストミンはクリームに、ヒメロスは軟膏に分類されます。

乳化したクリームであるバストミンの方が一般的に塗心地が良く感じられ、陰部以外の柔らかい部分、陰部においては外陰部へ塗布するのに適しています。一方、膣粘膜のようによりデリケートな部分には、軟膏であるヒメロスがより適しています。

ヒメロスは基材(有効成分以外の材料)の性質上、塗布後にべたつきがあり、手脚や腰などへ塗るのには適していません。症状とつけ心地を考慮して自身により適したものを選びましょう。

バストミンとヒメロスを比較

バストミン ヒメロス
バストミンチューブ ヒメロスチューブ
日本薬局方の規定 クリーム 軟膏
塗布箇所 腕、腰ほか外陰部(膣内部以外) 膣粘膜
塗った時の印象 さらりと冷たくべとつかない 少しあたたかい

女性更年期障害とは

閉経の前後の5年間を併せた10年間を「更年期」と言います。更年期に現れるさまざまな「更年期症状」の中でも日常生活に支障があるほど重いものが「更年期障害」と呼ばれます。女性ホルモンは、自律神経を司る脳の視床下部からの指令により卵巣から分泌されますが、加齢などで卵巣の機能が衰えると、視床下部からの指令に従うことができなくなります。そこで通常の何倍もの指令を出すために、主に自律神経の乱れとしての様々な症状が現れます。この他に生まれついての性格などの心理的因子、本人を取り巻く人間関係などの社会的因子が複合的に関係することで発症します。

女性ホルモン量の経年変化グラフ

女性更年期障害の症状

更年期障害は症状は非常にさまざまですが、これらが他の病気による症状ではないことを確認する必要があります。また、近年注目されているものにGSM(閉経後泌尿生殖器症候群)があります。この症候群は膣内の潤いの不足や、ここから生じる不感症、性交痛、尿のコントロールのしづらさなど、泌尿器に感じる不便さを表します。

身体的な症状の例 精神的な症状の例
更年期 身体症状ほてり、のぼせ、発汗、めまい、頭痛、足腰や関節の痛み、冷え、しびれ、だるさ、皮膚の乾燥、ドライアイ、など 更年期 精神症状不安感、気分の落ち込み、意欲低下、イライラ、情緒不安定、不眠など
GSM(閉経後泌尿生殖器症候群)とは

閉経を機に女性ホルモンが低下した時に生じる、女性器に関する諸症状。以前は老人性膣炎と呼ばれていましたが、2014年に国際女性性機能学会において新たな概念として提唱されました。症状は慢性的かつ進行性で、閉経後の女性の約半分が何らかの症状を持つとされています。

GMS症候群

GSM症状の例

陰部の潤いの不足、かゆみや痛み、頻尿、尿漏れ、性交痛、性交後の出血

更年期障害を解消するには

更年期障害の薬物療法は大きく4つに分けられます。

1. ホルモン補充療法(HRT)

更年期障害の主な原因がエストロゲン供給のゆらぎと減少にあるため、減少したエストロゲンを補う目的のホルモン補充療法:HRTが用いられます。HRTに用いるホルモン剤には飲み薬、貼り薬、塗り薬(バストミン)などさまざまなタイプがあります。

2. 医療用漢方

漢方薬はさまざまな生薬の組み合わせで作られており、全体的な心身のバランスの乱れを調整します。更年期女性の抱える様々な症状に対し、各人の証(体質・体力・症状の現れ方などの個人差)を診断したうえで処方されます。

ウィメンズヘルスケアオンラインでは「当帰芍薬散」「加味逍遥散」を中心に、医療用としての「満量処方」を行っています。

漢方製剤医療用漢方の処方

3. 向精神薬による治療

不安感や意欲の低下、情緒不安定、不眠などの精神症状が辛い場合は、対処療法として抗不安薬や抗うつ薬などが処方されることがあります。

4. 運動療法

加齢で進む骨盤底筋の筋力低下によって尿漏れ、足腰の痛み、肩こりなどが生じます。骨盤底筋とは、骨盤の底にある筋肉の総称で、臓器を下支えし、排尿、排便のコントロールを行います。骨盤底筋が弱らせないことで、この原因を取り除くのがケーゲル体操です。この名前は発案した医師の名前からきています。男女問わず排尿などのトラブルを改善させる方法として日本の医療機関でも早くから取り入れられている方法です。意識をしない限り、普段は鍛えない体の部分です。ホルモンの低下はこの筋肉群の筋力低下をもたらすことが知られているので、これに追い越されないよう試してみましょう。理学療法士の指導を受けながら行うことができますが、自宅でもできることがあります。ほんの少しのことでもやって損することはありません。時間を見つけて試してみてもよいかもしれません。

  • 骨盤底筋の感覚をつかむ。排尿時に肛門から尿道部分をギュッと締めると尿が止まります。これが骨盤底筋群が収縮した感触です。
  • 仰向けで少し開脚し息を吸いながら肛門から尿道部分を上に向かわせるように腰を浮かせてください。
  • この時、肛門から尿道部分を5秒間ギュッと締め、その後5秒間緩めます。(脚やお尻ではなく、骨盤底筋を意識して下さい)。
  • これを1日5セット繰り返します。慣れてくれば5秒の部分を伸ばせばより効果が高くなります。
骨盤底筋体操(ケーゲル体操)

ケーゲル体操1

1-仰向けに

ケーゲル体操2

2-お尻を上に

ケーゲル体操3a

3A-締める

ケーゲル体操3b

3B-緩める

ケーゲル体操4

1日5セット

ケーゲル体操5

人生後半のQOLを高めるために

女性ホルモンのバランスの乱れは、QOL(生活の質)に小さくない影響を及ぼします。これまでは我慢や諦めでやり過ごしてきた症状は、今ではそれらに対処できる選択肢が増えました。更年期といっても女性の平均寿命を考えるとほぼ半ばです。加齢だったらしょうがないと受け入れてしまわずに、適切な治療を受けこれからをより快適に過ごしましょう。

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バストミン使用上の注意

使用してはいけない人

・バストミンまたはバストミンの成分によりアレルギー症状を起こしたことがある
・パッチテストで異常があった(使用前にチューブから3mm程度出し、水又はお湯1〜2滴でよくねり、内股など皮膚のうすい所に塗り、翌日中に薬疹、発赤、かゆみ、はれなどの症状があらわれた)
・血栓症、子宮内膜症、脳卒中、心疾患、腎疾患のある人又はその既往歴がある
・乳房又は子宮、卵巣に腫瘍がある人およびこれらのおそれがある人
・家族あるいは本人に悪性腫瘍の病歴がある
・子宮筋腫、糖尿病、高血圧、てんかん、肝機能障害がある
・生理中の人、不正性器出血、腟分泌物(おりもの)がある
・妊婦又は妊娠している可能性のある女性、授乳婦
・小児

使用してはいけない部位

・目や目の周囲
・外傷、湿疹、ただれ、炎症および化膿のひどい患部

ヒメロス使用中に併用できない薬、食品
ヒメロスと同じ成分を含んだ医薬品(ピルなど)、リファンピシン、抗てんかん剤HIV逆転写酵素阻害剤、ステロイドホルモン、プロテアーゼ阻害剤 (リトナビル製剤)、セイヨウオトギリソウ(セント・ジョーンズ・ワート)含有食品、イプリフラボン、グレープフルーツジュース
使用時の注意

・使用後は石鹸とぬるま湯で手を十分に洗う。
・使用者以外の人に付着させないように注意する。付着した場合は直ちに洗い流す。
・避妊の目的で使用してはならない。
・ヒメロスの使用により月経周期が変わることがあるので、オギノ式など規則的な月経周期や基礎体温を応用する避妊法は避ける。
・ヒメロスを初めて使用する場合、乳房と子宮の検診がすすめられる。また、使用開始後は定期的に、乳房と子宮の定期検診がすすめられる。

使用の検討前に医師に相談が必要な場合

・他の疾患の治療で医師の治療を受けている人
・薬などによりアレルギー症状を起こしたことがある人

ヒメロスの副作用

ヒメロス使用後、次の症状があらわれた場合は副作用の可能性があるので、直ちに使用を中止して医師に相談してください。

関係部位 症状
皮膚  発疹・発赤、かゆみ、かぶれ、はれ
乳房 痛み、緊満感
消化器 吐き気、嘔吐、食欲不振
その他 頭痛、むくみ、めまい

・生理の周期および月経血の様子が著しく変調した場合は、直ちに使用を中止して医師、に相談してください。
・2週間位使用しても症状の改善がみられない場合は、医師に相談してください。
・誤った使い方をしてしまった場合は、直ちに使用を中止し医師に相談してください。

 

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