レボノルゲストレルの血中濃度とLH抑制の閾値関係

レボノルゲストレル(LNG)の血中濃度とLH抑制の閾値関係を、分子レベル・薬理学レベルで整理します。これは緊急避妊の成功率やBMI・体重との関係を理解するうえで非常に重要です。


① 基本概念

  • LNGはLH抑制が主作用
  • 排卵を防ぐには、血中濃度が一定以上の閾値を超える必要がある
  • LHサージ前に十分な濃度に達することが重要

② 血中濃度(Cmax)と時間(Tmax)

緊急避妊用1.5mg経口投与の場合:

パラメータ 値(概算)
Cmax(最高血中濃度) 約10–20 ng/mL
Tmax(到達時間) 1–2時間
半減期 約24時間

③ LH抑制閾値

  • 動物・ヒト試験から推定されるLH抑制濃度(threshold):
作用 血中LNG濃度
LHサージ抑制 約5–10 ng/mL(遊離型換算)
排卵阻止 Cmax付近で最も有効
LHサージ開始後 閾値を超えても効果減少

④ 時間と作用関係

服用後
0h ──▲──── 1–2h Cmax ──▼──── 24h 半減期
          ↑
        LH抑制閾値
  • CmaxでLH抑制閾値に達する
  • その後血中濃度が下がると効果は減少
  • 排卵直前に服用するとLHサージが始まっている場合、血中濃度が高くても完全阻止できない

⑤ BMI・体重との関係

  • 肥満(BMI ≥30)では:
  1. 分布容積増加 → Cmax低下
  2. 半減期変化 → 薬物曝露量(AUC)低下

→ LH抑制閾値に届かず、排卵阻止率が低下する

  • 体重75–80kg以上では特に注意

⑥ 緊急避妊での臨床的帰結

状況 LNG効果
LHサージ前(服用早い) 高成功率(85–95%)
LHサージ直前 成功率低下
LHサージ開始後 妊娠阻止困難

※ UP A(ウリプリスタル)はLHサージ後でも作用可能(PR遮断作用)


⑦ 可視化イメージ(概念図)

血中濃度(ng/mL)
│
│          ┌─────────────Cmax
│          │
│ LH抑制閾値───┐
│               │
│               │
└─────────────── 時間(h) → 
0h          1–2h          24h
服用       最高濃度        半減期
  • CmaxがLH抑制閾値を超える期間が長いほど排卵阻止率が高い
  • BMI増加や遅延服用でCmax低下 → 阻止率低下

⑧ まとめ

  1. LNGは血中濃度依存でLHを抑制
  2. 排卵阻止にはCmax付近で閾値を超えることが必須
  3. 服用タイミングが早く、体重が軽いほど成功率が高い
  4. LHサージ開始後や肥満では血中濃度が閾値に届かず、効果が低下