LHサージとノルレボの作用限界

「LHサージとレボノルゲストレル(ノルレボ)の作用限界」を正確に整理します。


① LHサージとは何か

LH(黄体形成ホルモン)は下垂体から分泌されるホルモンです。

排卵の流れ

  1. 卵胞が成熟
  2. エストロゲン上昇
  3. LHが急上昇(LHサージ)
  4. 約24~36時間後に排卵

LHサージは「排卵スイッチ」です。


② レボノルゲストレルの主な作用

レボノルゲストレルは:

  • 視床下部・下垂体に作用
  • LH分泌を抑制
  • 排卵を遅らせる

つまり:

「LHサージが起こる前」なら排卵を止められる


③ 作用限界のポイント

LHサージ前(効果がある)

  • 卵胞は成熟中
  • LHはまだ急上昇していない
  • レボノルゲストレルでLH放出を抑えられる

排卵を数日遅らせられる
妊娠阻止率が高い


⚠ LHサージ開始後(効果が低下)

  • LHがすでに急上昇中
  • 排卵はほぼ決定事項

この段階では:

  • レボノルゲストレルでLHを止められない
  • 排卵は止まらない

妊娠阻止率が大きく低下


排卵後(ほぼ無効)

  • 卵子はすでに放出済み
  • 排卵抑制は不可能
  • 受精を直接阻止する作用は弱い

妊娠を完全に防げない


④ 時系列で整理

卵胞成熟 → LH上昇前 → LHサージ → 排卵 → 受精可能期間
            ↑有効       ↑限界        ↑無効

⑤ なぜLHサージ後は止められないのか?

LHサージが始まると:

  • 卵胞内でプロスタグランジンなどが活性化
  • 卵胞壁の破裂準備が進行
  • 排卵カウントダウンが始まる

これはホルモンの単なる分泌段階ではなく
生物学的プロセスが進行中の状態

レボノルゲストレルは:

  • LH分泌を抑える薬であって
  • 進行中の排卵プロセスを逆転させる薬ではない

ここが作用限界です。


⑥ 臨床的に重要な点

最も妊娠しやすいのは:

排卵直前~当日

そして

この時期がレボノルゲストレルの「最も効きにくい時期」

これが
「本剤投与により完全に妊娠を阻止できない」
最大の理由です。


⑦ 代替との比較

状態 レボノルゲストレル 銅付加IUD
LHサージ前
LHサージ後
排卵後 △~×

銅付加IUDは受精・着床にも影響するため
排卵後でも高い効果があります。


⑧ まとめ

レボノルゲストレルの作用限界は:

✔ LHサージ開始後
✔ 排卵決定後
✔ 排卵完了後

つまり「排卵スイッチが入った後は止められない」