SHBGと肥満の関係

SHBG(Sex Hormone–Binding Globulin)と肥満の関係を、レボノルゲストレル(LNG)との関連も含めて整理します。


① SHBGとは何か

SHBGは肝臓で産生される血中タンパク質で、

  • テストステロン
  • エストラジオール
  • レボノルゲストレル(高親和性)

などの性ステロイドを結合します。

血中ホルモンは

  • 結合型(SHBG結合)
  • アルブミン結合型
  • 遊離型(free)

の3つに分かれます。

生物学的に活性があるのは主に遊離型


② 肥満でSHBGはどうなるか

結論:

肥満ではSHBGは低下する

特に内臓脂肪型肥満で顕著。


③ なぜSHBGが低下するのか

主因は インスリン抵抗性

肥満 →
→ 高インスリン血症 →
→ 肝臓でのSHBG産生抑制

インスリンは:

HNF-4α(肝核内因子)を抑制
→ SHBG遺伝子転写低下


④ SHBG低下の結果

SHBGが低いと:

  • 総ホルモン値は同じでも
  • 遊離ホルモン割合が増える

例:

テストステロン
→ free T増加
→ PCOS様変化


⑤ レボノルゲストレルとの関係

LNGは:

SHBGに強く結合する

肥満では:

  • SHBG低下
  • 結合型LNG減少
  • 遊離型割合増加

一見すると「遊離型が増えるなら効きそう」と思えます。

しかし実際は:総血中濃度(Cmax・AUC)が低下する傾向

理由:

  1. 分布容積増大
  2. 脂肪組織への移行
  3. クリアランス変化

つまり:SHBG低下単独では説明できない


⑥ もう一つ重要な点:SHBGはホルモンバッファ

SHBGは単なる運搬体ではなく:血中ホルモン濃度の安定化装置

SHBGが低いと:

  • 遊離型の変動が大きい
  • 代謝・消失が早まる可能性

これが:LNG作用持続時間の短縮に影響する可能性


⑦ 肥満・SHBG・排卵抑制のつながり

LNGは:

一定の血中濃度を維持して
→ LHサージを抑制

肥満では:

  • SHBG低下
  • 血中濃度ピーク低下
  • 分布増大

結果:LH抑制閾値に届きにくい


⑧ ウリプリスタルとの比較

UPAは:

  • SHBG結合はあるが
  • PR拮抗作用が強い

ため:SHBG変動の影響はLNGより小さいと考えられる


⑨ まとめ

肥満では:

  • インスリン抵抗性
  • SHBG低下
  • 遊離ホルモン増加
  • しかし総薬物濃度は低下傾向

レボノルゲストレルでは:SHBG低下より分布容積増大の影響がより大きい