CYP3A4代謝と肥満の関係とレボノルゲストレル

CYP3A4代謝と肥満の関係を、レボノルゲストレル(LNG)との関連も含めて整理します。


① CYP3A4とは

  • 肝臓および小腸に存在する主要な薬物代謝酵素
  • 多くのホルモン製剤(LNG・ウリプリスタル含む)を代謝
  • 個人差が大きい

レボノルゲストレルは主にCYP3A4で代謝されます。


② 肥満が薬物動態に与える基本的影響

肥満では:

  1. 体脂肪量増加
  2. 分布容積増大
  3. 肝血流変化
  4. 慢性炎症状態

が起こります。これが薬物動態(PK)に影響します。


③ 肥満とCYP3A4活性の関係

研究ではやや複雑な結果が出ています。

① CYP3A4活性は低下傾向の報告あり

肥満では:

  • 慢性炎症
  • インスリン抵抗性
  • 脂肪肝

によりCYP3A4発現が低下する可能性


② しかし実臨床では血中濃度が低い

興味深い点:

肥満ではCYP3A4活性が低下する可能性があるのに
LNG血中濃度は低くなる傾向がある

理由は:

分布容積の増加が影響している可能性が高い


④ レボノルゲストレルで起きていること

肥満女性では:

  • Cmax(最大血中濃度)低下
  • AUC(総曝露量)低下

報告あり。

原因として考えられるのは:

  1. 脂肪組織への分布増加
  2. SHBG変化
  3. 肝血流変化
  4. 代謝酵素発現変化

CYP3A4単独の問題ではなく
複合的な薬物動態変化


⑤ 重要:LH抑制には「閾値濃度」がある

LNGは:

一定以上の血中濃度でLH抑制

肥満では:

  • 血中ピークが低い
  • 排卵抑制閾値に届かない可能性

これが効果低下の本質と考えられています。


⑥ CYP3A4誘導薬との関係

肥満に加えて:

  • リファンピシン
  • カルバマゼピン
  • フェニトイン
  • セントジョーンズワート

などのCYP3A4誘導薬を併用すると

LNG血中濃度がさらに低下
失敗率が上昇

肥満+誘導薬は特に注意が必要です。


⑦ ウリプリスタルとの違い

UPAもCYP3A4代謝ですが:

  • 受容体遮断作用が強い
  • 排卵直前にも作用可能

ため、BMIの影響は比較的小さいと考えられています。


⑧ まとめ

肥満とCYP3A4の関係は:

✔ 肥満でCYP3A4発現は低下する可能性
✔ しかしLNG血中濃度はむしろ低下傾向
✔ 主因は分布容積増大
✔ LH抑制閾値に届かない可能性

つまり:肥満では「代謝亢進」より「分布変化」が重要と考えられる