麻子仁丸
■ 麻子仁丸(ましにんがん)とは
麻子仁丸は、主に便秘(特に慢性便秘)を改善する漢方薬です。古典『金匱要略』に由来する処方で、腸の動きを整え、潤いを与えながら便を出す作用があります。名前の「麻子仁」は主成分の麻子仁(大麻子の種子)に由来し、便を柔らかくして排便を促す作用が中心です。
■ 構成生薬(6種類)
| 生薬名 | 主な作用 |
|---|---|
| 麻子仁(ましにん) | 腸を潤して便を柔らかくする、便秘改善の主薬 |
| 芒硝(ぼうしょう) | 腸の水分を調整し、便通を促す |
| 大黄(だいおう) | 軽い下剤作用で便通を促進 |
| 杏仁(きょうにん) | 腸の蠕動を助ける、便通改善 |
| 厚朴(こうぼく) | 腸のガスや張りを緩和、便の通過を助ける |
| 炙甘草(しゃかんぞう) | 薬の調和、腸の緊張を和らげる |
ポイント:潤いを与えつつ腸の蠕動を助けるため、慢性的な便秘に向いた処方です。
■ 効能・効果(日本薬局方などの記載)
- 慢性便秘(特に高齢者や体力が低下している人)
- 便が硬く出にくい場合
- 腸内の水分不足による便秘
■ 適する体質と症状
| 状況 | 説明 |
|---|---|
| 便秘が長く続く | 1週間に1回程度しか排便がない、または便が硬い |
| 腸の乾燥 | 便が乾燥して硬く、排便時に力む |
| 体力 | 比較的虚弱~中等度の体力で、便通が悪くなりやすい |
| 高齢者 | 腸の蠕動が弱く、慢性的な便秘になりやすい |
「腸の乾燥+蠕動低下タイプ」の慢性便秘に適した処方です。
■ 現代的な臨床応用
- 高齢者の慢性便秘改善
- 体力が低下している人の便秘対策
- 便が硬く出にくい場合の潤腸作用
- 便秘に伴う腹部の張り・不快感の軽減
■ 注意点
- 下剤作用があるため、強く効きすぎる場合は量を調整
- 下痢や腹痛が強いときは中止
- 妊娠中や腎障害・心疾患がある場合は医師管理下で使用
■ 類似処方との比較
| 処方名 | 主な特徴 | 体質傾向 |
|---|---|---|
| 麻子仁丸 | 腸を潤し、蠕動を助ける慢性便秘向け | 高齢者・乾燥便秘タイプ |
| 大黄甘草湯 | 急性の便秘や腹部張りを改善 | 短期間の便秘・中等度体力 |
| 桃核承気湯 | 便秘+熱証・腹部張り・血行異常に有効 | 腸内熱や便秘の急性型 |
■ まとめ
麻子仁丸は「腸を潤し、蠕動を助ける慢性便秘向け漢方薬」。
高齢者や体力が低下した人、便が硬く出にくい場合に用いられる。
「潤腸・緩下作用」で、長期的な便秘改善に向いた処方です。









