いろいろなピルの違い
どのピルにも、エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲスチン(黄体ホルモン)という2つの女性ホルモンが含まれています。低用量ピルは、これら2つの女性ホルモンの配合量の違い、黄体ホルモンの種類の違い、黄体ホルモンの配合割合の違いによって、いくつかの種類に分けられます。
配合量の違い
ピルはこれに含まれるエストロゲン(卵胞ホルモン)の量によって「高用量」「中用量」「低用量」「超低用量」ピルに分けられます。高、中用量ピルは1錠あたりのエストロゲン配合量が低用量ピルに比べて高く効果も大きいですが、副作用も強くなる傾向がありました。
この副作用をより抑えながら、かつ適切な効果も得られるよう開発されたのが低用量ピルです。長期にわたって安全に使える低用量ピルが認可されたことで、現在ピルによる治療の主流は低用量ピルとなっています。
エストロゲン量 | 商品名 | |
高用量ピル | 0.05mg以上 | 現在ではほぼ使われない |
中用量ピル | 0.05mg | プラノバールなど |
低用量ピル | 0.05mg以下 | トリキュラー ラベルフィーユ |
マーベロン ファボワール |
||
超低用量ピル | 0.03mg以下 | ヤーズなど |
黄体ホルモン(プロゲスチン)の違い
ピルに含まれる2つのホルモン、エストロゲン(卵胞ホルモン)、黄体ホルモン(プロゲスチン)のうち、後者は4種類に分かれます。開発された世代順に第1~4世代と呼ばれます。
黄体ホルモン(プロゲスチン)には、アンドロゲン作用(食欲亢進、多毛、ニキビなど)と呼ばれるはたらきがあり、第1から4に進むに従ってその作用は一般的には弱くなるとされています。
しかしピルには個々の相性のようなものがあり、第4世代がもっとも副作用がでにくいとは必ずしも言えません。やはり自分の身体に合うものを医師と相談しながら使うのがよいでしょう。
黄体ホルモンの種類 | 商品名 | |
第1世代 | ノルエチステロン | ルナベルなど |
第2世代 | レボノルゲストレル | トリキュラー ラベルフィーユ |
第3世代 | デゾゲストレル | マーベロン ファボワール |
第4世代 | ドロスピレノン | ヤーズなど |
黄体ホルモンの配合割合の違い
ピル1錠に含まれる卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲスチン)のうち、卵胞ホルモン(エストロゲン)はどの期間の錠剤も同じ量が含まれています。一方、黄体ホルモン(プロゲスチン)は、その配合割合によって「1相性」「3相性」のピルに分けられます。
1相性のピル | 3相性のピル |
エストロゲン・黄体ホルモンが全ての期間内で同量が含まれる。 | エストロゲンは同量、黄体ホルモンは月経周期に沿うよう量が変わる。 |
「3相性」タイプは、本来の月経のリズムに合うよう、週ごとに異なる量の有効成分が含まれており、副作用の軽減が図られています。一方、「1相性」タイプは、服用による体調の変化を和らげるために一定量の有効成分が含まれています。どちらか一方が絶対に快適とはいえず、これも自分の身体に合うものを医師と相談しながら使うのがよいです。
ピルの違い まとめ
これらの他にも先発薬・後発薬の違い、21錠タイプ・28錠タイプの違いがありますが、前者はジェネリック薬かそうでないか、後者は21錠の実薬より先に飲む、無害なダミー薬7錠を加えて28錠になっているかいないか、の差があるだけで基本的な違いはありません。
当クリニックで扱うピルは、上記の違いとの関係性でみると次のような位置づけになります。
世代 | 相性 | ||
ルナベルなど | 1世代 | 1相性 | 月経困難症で保険適用 |
トリキュラー | 2世代 | 3相性 | |
ラベルフィーユ | 〃 | 〃 | *ジェネリック |
マーベロン | 3世代 | 1相性 | |
ファボワール | 〃 | 〃 | *ジェネリック |
ヤーズなど | 4世代 | 1相性 | 月経困難症で保険適用 |
トリキュラーの特徴
「第2世代」タイプであるトリキュラーは、特に不正出血が出ずらく、生理の周期を調節しやすいといわれています。ラベルフィーユはマーベロンのジェネリック薬です。
マーベロンの特徴
「第3世代」マーベロンなどの低用量ピルは「デソゲストレル」という黄体ホルモンが含まれており、これは男性ホルモンを抑制するはたらきがあるため、ニキビなどの肌荒れ改善が期待できるとされています。ファボワールはマーベロンのジェネリック薬です。
医師と相談し、ご自身に最適だと思われるピルが見つかって、しばらく同じピルの継続使用が決まった方には「まとめ割引」を受けることもできます。いずれにせよピルには使用者の体質や状況によって、より適した薬が変わってくることもあります。何か心配なことなどがおこりましたらご相談下さい。