ノルレボとエラの作用差

レボノルゲストレル(LNG:ノルレボ)とウリプリスタル(UPA:エラ)の作用差を、排卵機構レベルまで踏み込んで整理します。


① まず結論(本質的な違い)

レボノルゲストレル(LNG) ウリプリスタル(UPA)
分類 黄体ホルモン製剤 選択的プロゲステロン受容体調節薬(SPRM)
主作用 LH分泌抑制 プロゲステロン受容体遮断
LHサージ後 効果が弱い ある程度抑制可能
排卵直前 失敗しやすい 作用可能
有効時間 72時間以内 120時間以内

最大の違いは「LHサージ後に効くかどうか」


② レボノルゲストレルの作用

作用部位

  • 視床下部
  • 下垂体

作用機序

  • LH分泌を抑える
  • 排卵を遅らせる

限界

LHサージが始まると:

  • LHはすでに急上昇
  • 排卵カスケード進行中
  • 抑制できない

LHサージ前でないと有効性が低下


③ ウリプリスタルの作用

作用部位

  • 卵巣(卵胞)
  • 子宮内膜
  • 下垂体

作用機序

  • プロゲステロン受容体をブロック
  • 卵胞破裂プロセスを直接抑制

重要ポイント

LHサージ開始後でも:

  • 卵胞破裂を遅延させられる
  • 排卵を止められる可能性がある

ここが決定的な差


④ 時系列で比較

卵胞成熟 → LH上昇前 → LHサージ → 排卵

LNG   :◎          △          ×
UPA   :◎          ◎          △

⑤ なぜUPAは強いのか?

排卵には:

  • LH上昇
  • プロゲステロン作用
  • 卵胞壁酵素活性化

が必要です。

UPAは:

プロゲステロン受容体を遮断
排卵カスケードを途中で止められる

LNGは:

LHを止めるだけ
すでに始まった排卵は止められない


⑥ BMIとの関係

BMI影響
LNG 影響を受けやすい
UPA 影響は比較的少ない

理由:

  • LNGは濃度依存的LH抑制
  • UPAは受容体レベルで強力に作用

⑦ 子宮内膜への影響

子宮内膜作用
LNG 軽微
UPA 内膜変化あり(着床阻害の可能性)

ただし:

  • 主作用はどちらも排卵抑制
  • 受精後妊娠を中断する薬ではない

⑧ 有効時間の違い

使用可能時間
LNG 72時間以内
UPA 120時間以内

これは:

LHサージ後にも作用できるため


⑨ 臨床的まとめ

レボノルゲストレルが向くケース

  • 排卵前が明らか
  • できるだけ早期服用
  • BMIが低め

ウリプリスタルが向くケース

  • 排卵時期が不明
  • 排卵直前の可能性
  • BMI高め
  • 72時間超過

⑩ 本質的な違い

LNGは「LHを止める薬」
UPAは「排卵そのものを止める薬」