ファボワールの禁忌:35歳以上で1日15本以上の喫煙者

デソゲストレル・エチニルエストラジオール錠(ファボワール)の添付文書に記載されている禁忌で「35歳以上で1日15本以上の喫煙者」について、定義・医学的根拠・実臨床での解釈を正確に解説します。


① 添付文書でいう「35歳以上で1日15本以上の喫煙者」とは

● 定義(極めて字義どおり)

以下 すべてを満たす女性を指します。

  1. 年齢が35歳以上
  2. 現在も喫煙している
  3. 喫煙本数が1日15本以上
    • 紙巻きタバコ
    • 加熱式タバコも原則同等扱い

この条件を満たす場合、ファボワールは「絶対禁忌」です。


② なぜこの条件が「絶対禁忌」なのか(核心)

理由は一つではなく、リスクが乗算的に跳ね上がるためです。

● エストロゲンの作用

  • 凝固因子↑
  • 抗凝固系↓
  • 血管内皮障害

● 喫煙の作用

  • 血小板凝集↑
  • 動脈硬化促進
  • 血管収縮
  • 一酸化炭素による酸素供給低下

● 年齢(35歳以上)

  • 動脈硬化・血栓リスクが加速
  • 血管の予備能低下

3つが重なると

  • 心筋梗塞
  • 脳梗塞
  • 肺塞栓症

の発症リスクが統計的に有意かつ急激に上昇します。


③ なぜ「15本以上」が境界線なのか

● 国際基準(WHO・CDC・米国MEC)

喫煙量によるリスク評価は以下のように区切られています。

年齢 喫煙量 OC使用
35歳未満 問わない 原則可
35歳以上 15本未満 原則避ける(慎重)
35歳以上 15本以上 禁忌

15本以上=ヘビースモーカーという医学的・疫学的区分です。


④ 「少し減らしている」「たまに吸う」はどう扱われるか

● よくある誤解

  • 「今日は10本だから大丈夫」
  • 「平日は吸わない」
  • 「加熱式だからセーフ」

いずれも禁忌判断は変わりません

● 医学的判断

  • 慢性的に15本以上吸っている習慣があれば該当
  • 「自己申告の一時的減量」は考慮されない
  • 加熱式・電子タバコも
    血管障害リスクは否定されていない

⑤ いつから「喫煙者でない」と扱われるか

これは重要なポイントです。

● 原則的な考え方

  • 完全禁煙
  • 一定期間の継続

が必要です。

● 実臨床の目安

  • 最低でも 数か月以上の禁煙
  • 心血管リスクが下がるのは
    禁煙後1年以上が目安

「禁煙開始直後」はまだ禁忌扱いされることが多い。


⑥ なぜ「低用量ピルでもダメ」なのか

ファボワールは「低用量」ですが:

  • エチニルエストラジオールを含む
  • 血栓リスクはゼロにならない

「低用量=安全」ではない
特にこの条件では 用量の問題ではなく体質×環境リスクの問題


⑦ 実際に勧められる代替手段

該当する場合、以下が検討されます:

  • 黄体ホルモン単独法
    • デソゲストレル単剤
  • 子宮内避妊具(IUD)
  • バリア法

エストロゲンを含まない方法


⑧ 添付文書が伝えたい本質

この禁忌は、

「35歳を超えてヘビースモーカーの女性にエストロゲンを投与してはいけない」

という、予防可能な致死的事故を防ぐための絶対ルールです。


⑨ 要点

  • 35歳以上+1日15本以上喫煙
  • ファボワールは絶対禁忌
  • 理由は
    血栓・心筋梗塞・脳梗塞リスクの急増
  • 加熱式・減量中でも原則同等扱い
  • 禁煙後すぐにOKにはならない