ファボワールの禁忌:高血圧のある患者

経口避妊剤 (ファボワール)添付文書の禁忌「高血圧のある患者(軽度の高血圧の患者を除く)」について解説します。


1. この禁忌の意味(結論)

ここでいう「高血圧のある患者(軽度を除く)」とは、中等度以上の高血圧、または血圧が十分にコントロールされていない高血圧患者を指し、エストロゲン含有経口避妊薬(COC)を使用すると脳卒中・心筋梗塞・血栓症のリスクが有意に上昇するため禁忌とされています。


2. 具体的な血圧の目安

① 禁忌に該当する高血圧

以下のいずれかに該当する場合、ファボワールは原則使用不可です。

中等度以上の高血圧

  • 収縮期血圧 ≥ 160 mmHg
  • 拡張期血圧 ≥ 100 mmHg

(いずれか一方でも該当すれば禁忌)


コントロール不良の高血圧

  • 降圧薬を使用していても
    • 血圧が安定していない
    • 上記数値に近い
  • 服薬アドヒアランス不良

高血圧性臓器障害を伴う患者

  • 左室肥大
  • 高血圧性腎障害
  • 網膜症
  • 脳血管障害の既往

血圧値が軽度でも禁忌扱い


3. 「軽度の高血圧」とは何を指すか

添付文書で「除外」されている
軽度高血圧とは、一般に以下を指します。

軽度高血圧(使用可となる可能性あり)

  • 収縮期血圧:140〜159 mmHg
  • 拡張期血圧:90〜99 mmHg
  • 合併症なし
  • 他の血栓リスク因子が少ない
  • 血圧が安定している

ただし「慎重投与」かつ定期的血圧測定が必須


4. なぜ高血圧患者でファボワールが危険なのか

① エストロゲンの昇圧作用

  • レニン・アンジオテンシン系活性化
  • 体液貯留

血圧がさらに上昇


② 血栓・動脈硬化リスクの増加

  • 高血圧 → 血管内皮障害
  • COC → 凝固能亢進

脳梗塞・心筋梗塞のリスクが相乗的に上昇


③ 致死的イベントのリスク

高血圧
+
エストロゲン
=
脳卒中・心筋梗塞

特に

  • 35歳以上
  • 喫煙
  • 脂質異常症
  • 糖尿病

を合併すると危険性が急増します。


5. 添付文書の「高血圧」の実務的解釈

明確に禁忌

  • ≥160 / ≥100 mmHg
  • 高血圧性臓器障害あり
  • コントロール不良

条件付きで使用可(慎重)

  • 140–159 / 90–99 mmHg
  • 合併症なし
  • 安定コントロール

6. 高血圧患者に推奨される代替避妊法

原則

エストロゲン非含有

選択肢

  • 黄体ホルモン単剤(POP)
  • レボノルゲストレルIUS(ミレーナ)
  • 銅付加IUD
  • バリア法

中等度以上では COCは避ける


7. 要点

項目 内容
禁忌の高血圧 ≥160/100 mmHg または臓器障害あり
軽度高血圧 140–159/90–99 mmHg(慎重)
なぜ禁忌 昇圧+血栓+動脈イベント
判断 血圧値+合併症で評価
代替 非エストロゲン避妊法