女性のテストステロン

「テストステロン(Testosterone)」というと一般的には“男性ホルモン”の代表格と思われがちですが、女性の体内にも少量ながら存在し、重要な働きを担っています。


女性のテストステロンとは

基本情報

項目 内容
ホルモン名 テストステロン(Testosterone)
分泌場所 卵巣(約25%)・副腎皮質(約25%)・末梢組織での変換(約50%)
ホルモン分類 アンドロゲン(男性ホルモンの一種)
主な血中濃度 男性の1/10〜1/20程度(非常に少量)

主な働き(女性における役割)

分類 具体的な作用
性機能 性欲(リビドー)の維持、性的興奮の促進
筋肉・骨格 筋肉量・骨密度の維持、基礎代謝のサポート
精神・感情 自信・意欲・集中力の維持、抑うつ傾向の軽減
血液・代謝 赤血球産生の促進、脂質代謝の調整(HDL・LDLバランス)
皮膚・毛髪 皮脂分泌の促進、毛髪の成長に関与(過剰で多毛・脱毛も)

テストステロンと女性ホルモンの関係

  • テストステロンはエストロゲン(エストラジオール)の前駆体でもあります。
    つまり、女性の体内では一部のテストステロンがアロマターゼという酵素でエストロゲンに変換されます。
  • よって、女性にとってもテストステロンは「エストロゲンの源」かつ「身体と心の活力の源」なのです。

月経周期とテストステロンの変動

時期 濃度傾向 説明
卵胞期 やや上昇 卵胞発育に伴い上昇
排卵期 ピーク 性欲が高まりやすい時期
黄体期 やや低下 プロゲステロン優位で落ち着く
月経期 低値 活力・性欲の低下を感じやすい

テストステロン低下の影響(女性の場合)

  • 性欲減退・疲労感・無気力
  • 筋力低下・骨密度低下
  • 皮膚のハリ低下・髪のボリューム減少
  • 更年期症状の一部(意欲・気力の低下)

テストステロン過剰の影響

  • にきび・脂性肌
  • 体毛(特に顔・腕・脚)の増加
  • 脱毛(男性型脱毛症様)
  • 月経不順(多嚢胞性卵巣症候群=PCOSでよく見られる)

まとめ

女性のテストステロンは「男性的なホルモン」ではなく、
活力・性欲・骨や筋肉・エストロゲン生成を支える“元気ホルモン”です。
少なすぎても多すぎても問題が生じるため、バランスがとても重要です。