葛根湯

■ 葛根湯(かっこんとう)とは

葛根湯は、風邪のひき始めに用いられる代表的な漢方薬で、「ゾクッと寒気がして肩や首がこる」「まだ熱は出ていない段階」に最も効果を発揮します。

出典は中国の古典『傷寒論(しょうかんろん)』で、約1800年前から使われている非常に歴史のある処方です。体を温めて発汗を促し、体表の邪気(風邪などの外からの影響)を追い出す働きがあります。


■ 構成生薬(7種類)

生薬名 主な作用
葛根(かっこん) 筋肉をほぐし、発汗・解熱・首や肩のこりを和らげる
麻黄(まおう) 発汗を促し、悪寒・頭痛を改善
桂枝(けいし) 体を温め、血行をよくする
芍薬(しゃくやく) 筋肉の緊張をやわらげ、痛みを鎮める
甘草(かんぞう) 薬の調和・炎症抑制・筋肉のこわばり緩和
生姜(しょうきょう) 体を温め、胃腸を守る
大棗(たいそう) 体力を補い、薬の刺激を和らげる

■ 効能・効果(日本薬局方などの記載)

  • 感冒(風邪の初期)
  • 鼻かぜ
  • 肩こり
  • 頭痛
  • 筋肉痛
  • 寒気(悪寒)

■ 適する体質とタイミング

状況 説明
発症初期 体がゾクゾクする、寒気がする、汗がまだ出ていない
体質 比較的体力のある人(汗をかきやすい人にも可)
症状 頭痛、肩こり、節々の痛み、鼻水、首のこり

つまり、「寒気がして、まだ熱や咳が強くない段階の風邪」に向いています。
逆に、熱が出て汗をかき始めてからや、体力が落ちている状態では効果が弱まるか、合わないこともあります。


■ 現代的な応用

  • 風邪の初期治療薬として内科・耳鼻科で最も処方される漢方薬の一つです。
  • 肩こり・首こり・緊張性頭痛にも使用されます(発汗作用よりも筋肉緩和作用を狙う)。
  • 一部ではインフルエンザ初期にも併用されることがあります(ウイルスを直接抑える効果はないが、発症を軽くする目的)。

■ 注意点

  • 汗をすでにかいている状態で服用すると脱水・虚脱を招くことがあります。
  • 高齢者や虚弱体質の方では刺激が強すぎる場合があるため、半量などで調整されます。
  • 麻黄(まおう)を含むため、心疾患や高血圧のある方は医師に相談が必要です。

■ 類似処方との比較

処方名 主な用途 特徴
葛根湯 風邪の初期・肩こり 発汗・解熱・血行促進
桂枝湯 風邪の初期(汗が出ている) 優しい発汗・体力が弱い人向き
麻黄湯 寒気・発熱・節々の痛み(体力がある人) 強い発汗・鎮痛作用