防已黄耆湯

■ 防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)とは

防已黄耆湯は、むくみ・冷え・倦怠感・疲労感などを改善する漢方薬で、特に高齢者や体力があまりない人の浮腫(むくみ)に用いられる代表的処方です。名前の由来は、主要な生薬である防已(ぼうい)黄耆(おうぎ)に由来しています。古典『金匱要略(きんきようりゃく)』に記載される処方で、「体力がやや弱く、水分が滞ってむくむタイプ」の体質改善に適しています。


■ 構成生薬(6種類)

生薬名 主な作用
防已(ぼうい) 利水作用、関節の腫れやむくみを改善
黄耆(おうぎ) 気を補い、体力を増強。むくみ改善の補助
白朮(びゃくじゅつ) 胃腸を整え、余分な水分を除く
甘草(かんぞう) 炎症・むくみを抑え、薬の調和
生姜(しょうきょう) 体を温め、薬の吸収を助ける
大棗(たいそう) 体力を補い、胃腸を整える

■ 効能・効果(日本薬局方などの記載)

  • むくみ(浮腫)、特に下肢のむくみ
  • 膝や足の関節の腫れ・痛み
  • 倦怠感・疲労感
  • 老人性浮腫・慢性疾患に伴う軽度の浮腫
  • 膀胱炎や慢性腎機能低下に伴うむくみ(医師管理下)

■ 適する体質と症状

状況 説明
むくみ 特に下肢のむくみが目立つ
関節の腫れ 膝や足首が腫れやすい
体力 やや虚弱で、冷えやすい
倦怠感・疲労 長く続く疲れやだるさがある
排尿 尿量が少ない、頻尿・残尿感が軽い

ポイント

「体力が少し弱く、体に水が滞るタイプ」に向いている処方で、体を温めつつむくみを改善するのが特徴です。


■ 現代的な臨床応用

  • 高齢者の慢性むくみ(老人性浮腫)
  • 関節炎やリウマチのむくみ・腫れの補助
  • 慢性腎疾患に伴う軽度浮腫の改善
  • 疲労回復・体力増強(気を補う作用による)

■ 注意点

  • 体力が十分にある人や、のぼせ・多汗のタイプには合わないことがあります。
  • 強い腎障害や心疾患がある場合は、医師の管理下で使用することが推奨されます。
  • むくみが強すぎる場合、利尿剤との併用に注意が必要です。

■ 類似処方との比較

処方名 主な特徴 体質傾向
防已黄耆湯 下肢のむくみ・倦怠感・体力不足 高齢者・虚弱体質
五苓散 水分代謝の異常による急性のむくみ むくみ・二日酔い・吐き気
八味地黄丸 腎陽虚・冷え・頻尿・腰痛 中高年の体力低下
猪苓湯 腎臓性浮腫 腎障害・水毒タイプ

■ まとめ

  • 防已黄耆湯は「やや虚弱な体質で、下肢や関節のむくみ・倦怠感がある人」に適した漢方薬。
  • 体力を補いながら、水分代謝を整え、慢性むくみや疲労感を改善する。
  • 高齢者の慢性浮腫や軽度の関節腫れに臨床的に使いやすい処方です。