HIVプロテアーゼ阻害剤

HIVプロテアーゼ阻害剤(HIV protease inhibitors, PI)は、HIV(ヒト免疫不全ウイルス)の増殖に不可欠な「プロテアーゼ」という酵素を阻害する抗HIV薬の一群です。


作用機序

  • HIVは自身の遺伝子をもとに 「前駆体ポリタンパク」 を合成します。

  • 通常、この前駆体は HIVプロテアーゼ によって切断され、成熟した構造タンパクや酵素に変換されます。

  • プロテアーゼ阻害剤はこの切断を阻止し、成熟した感染性のあるウイルス粒子が作られなくなる → 産生されるウイルスは不完全で感染力を持たない。


特徴

  • 高い抗ウイルス効果:強力にウイルス増殖を抑制

  • 多剤併用療法(HAART) の重要な構成要素

  • 薬剤耐性が出やすいため、他のクラス(逆転写酵素阻害薬など)と併用する


代表的な薬剤

  • インジナビル(indinavir)

  • リトナビル(ritonavir)※ブースターとしても利用

  • サキナビル(saquinavir)

  • ロピナビル(lopinavir)

  • アタザナビル(atazanavir)

  • ダルナビル(darunavir)


副作用

  • 脂質異常症(高コレステロール血症・高中性脂肪血症)

  • インスリン抵抗性・糖尿病

  • 体脂肪再分布(中心性肥満、末梢脂肪減少)

  • 消化器症状(吐き気、下痢など)

  • 薬物相互作用(CYP3A4阻害作用が強い → 他薬の血中濃度に影響)


臨床での位置づけ

  • 現在のHIV治療は INSTI(インテグラーゼ阻害薬)+NRTI(核酸系逆転写酵素阻害薬) が主流ですが、

  • プロテアーゼ阻害剤は 耐性ウイルスや特定症例 で今も重要な選択肢。

  • 特にリトナビルやコビシスタットは「ブースター」として他薬の血中濃度を高める目的で使われています。

 

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