ファボワールの禁忌:骨成長が終了していない可能性がある女性

ファボワール(デソゲストレル/エチニルエストラジオール)添付文書の禁忌にある「骨成長が終了していない可能性がある女性」とは、エストロゲン投与により骨端線(成長板)が早期閉鎖するおそれがある年齢・発育段階の女性を指します。


結論

思春期〜骨成熟が完了していない若年女性(主に10代前半〜半ば)
「年齢」ではなく「骨成熟が未完了である可能性」が判断軸


なぜ禁忌なのか(医学的背景)

① エストロゲンは「骨端線閉鎖」を促進する

  • ファボワールに含まれるエチニルエストラジオール
    • 思春期における骨成長を制御する主要ホルモン
    • 骨端線(成長板)を閉鎖させる方向に作用

骨成長が終わる前に投与すると最終身長が低く固定されるリスク


② 低用量ピルでも影響は否定できない

  • 「低用量」でも
    • 内因性エストロゲンに外因性が上乗せ
    • 骨成熟のタイミングを前倒しする可能性

特に初経後まもない時期は影響を受けやすい


「骨成長が終了していない可能性がある女性」とは具体的に

含まれる可能性が高いケース

  • 初経から2年未満
  • 10代前半〜中盤(おおよそ10〜14歳)
  • 身長がまだ明らかに伸びている
  • 小児科的には「成長期後期〜思春期中期」
  • 骨年齢が実年齢より若い

含まれにくいケース

  • 初経から2〜3年以上経過
  • 身長増加がほぼ停止
  • 10代後半(16〜17歳以降)で骨成熟が確認されている

※ただし個人差が非常に大きい


なぜ添付文書では「年齢」を明記しないのか

  • 骨成熟は
    • 年齢
    • 初経時期
    • 遺伝
    • 栄養状態
      により大きく異なる

一律に「○歳以下」とすると医学的に不正確
そのため「骨成長が終了していない可能性がある女性」という表現になる


実臨床での判断の考え方

医師は以下を総合的に判断します:

  • 年齢
  • 初経からの経過年数
  • 身長増加の有無
  • 必要に応じて骨年齢(手X線)
  • 使用目的(避妊か、月経困難症など治療目的か)

若年女性で避妊が必要な場合の選択肢

  • エストロゲンを含まない方法が原則
    • 黄体ホルモン単剤(ミニピル)
    • コンドーム
    • IUD(年齢・状況により慎重)
  • 月経困難症治療でもLEP使用は慎重判断

添付文書上のこの禁忌の本質

「若いと危険な薬」ではなく将来の身体的発育(最終身長)を不可逆的に損なう可能性を避けるための予防的禁忌


まとめ

  • 対象:骨成熟が未完了な思春期女性
  • リスク:骨端線の早期閉鎖 → 身長伸びの停止
  • 判断軸:年齢ではなく発育段階