トリキュラーの禁忌:妊娠中に黄疸、持続性そう痒症又は妊娠ヘルペスの既往歴のある患者

トリキュラー(レボノルゲストレル・エチニルエストラジオール)の禁忌のひとつ、妊娠中に黄疸、持続性そう痒症又は妊娠ヘルペスの既往歴のある患者について詳しく解説します。


1. 禁忌の意味

この禁忌は、過去の妊娠中に特定の肝機能異常や皮膚症状を経験した女性には、トリキュラーを使用してはいけないという意味です。

  • トリキュラーにはエストロゲンが含まれる
  • エストロゲンは肝臓で代謝され、胆汁分泌にも影響を与える
  • 妊娠中に特定の症状を経験した人は、再度エストロゲン投与により同様の症状が再発するリスクが高い

2. 各症状の背景とリスク

(1) 妊娠性黄疸

  • 妊娠中に肝機能異常で黄疸が出た状態
  • 黄疸は肝臓や胆道の異常を示す
  • エストロゲン投与で胆汁うっ滞性障害が再発するリスクがある

(2) 持続性そう痒症(妊娠性痒疹)

  • 妊娠中に全身または手足の強いかゆみが長期間続いた状態
  • 胆汁うっ滞やホルモン変化が原因とされる
  • エストロゲン投与によりかゆみ・肝機能異常が再発する可能性がある

(3) 妊娠ヘルペス(妊娠中の肝炎性疾患)

  • 妊娠中に肝臓に炎症を伴う病態(特に妊娠性肝炎や妊娠性ヘルペスウイルス感染)を経験した場合
  • エストロゲンにより肝障害が悪化するリスクがある

3. なぜ禁忌なのか

  1. 肝臓への負荷
    • エストロゲンは肝臓で代謝される
    • 過去に妊娠中の肝障害や黄疸があった場合、再び肝機能障害が起こる可能性がある
  2. 胆汁うっ滞の再発
    • 妊娠性黄疸や妊娠性痒疹は、エストロゲンの作用で胆汁うっ滞が誘発されやすい
    • 再発すると全身の痒み、黄疸、肝機能異常が生じる
  3. 重篤化のリスク
    • 黄疸や肝障害が進行すると、血液凝固異常や脂質異常、全身症状が出現する可能性がある

4. 臨床上のリスク

リスク 具体例
肝機能障害の再発 AST/ALT上昇、黄疸、胆汁うっ滞
持続性痒みの再発 皮膚のかゆみ、睡眠障害、生活の質低下
血液凝固異常 血栓症のリスク増
重篤化 肝不全や全身症状の可能性(稀)

5. 医師の対応

  • 妊娠中に黄疸・痒疹・妊娠ヘルペスを経験した女性は絶対禁忌
  • 避妊が必要な場合は、非エストロゲン系避妊法を選択:
    • プロゲスチン単剤ピル(ミニピル)
    • 子宮内避妊具(IUD/IUS)
    • コンドーム
  • 服用歴がある場合は肝機能検査の評価症状再発の有無確認が必要

6. まとめ

禁忌対象 理由 主なリスク
妊娠中に黄疸、持続性痒疹、妊娠ヘルペス既往の女性 エストロゲンで肝障害や胆汁うっ滞が再発する可能性が高い 黄疸再発、全身痒み、肝機能異常、血栓症、重篤化の可能性

要点は、妊娠中に肝障害や痒疹を経験した女性は、エストロゲン投与で同様の症状が再発・悪化する可能性があるため、トリキュラーは絶対禁忌ということです。