トリキュラーの禁忌:血管病変を伴う糖尿病患者

トリキュラー(レボノルゲストレル・エチニルエストラジオール)の禁忌にある、血管病変を伴う糖尿病患者(糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症等)について、詳しく解説します。


1. 禁忌の意味

この禁忌は、糖尿病が原因で血管に障害がある患者には、トリキュラーを使用してはいけない、という意味です。

具体的には:

  • 糖尿病性腎症:腎臓の血管が損傷して血流や濾過機能が低下
  • 糖尿病性網膜症:網膜の毛細血管が障害され、出血・視力障害の原因になる
  • その他血管合併症:末梢動脈疾患、心血管疾患など

いずれも血管が脆弱または血流異常を起こしている状態です。


2. なぜ血管病変のある糖尿病患者が禁忌なのか

トリキュラーにはエチニルエストラジオール(エストロゲン)が含まれます。

  • エストロゲンは血液を凝固しやすくする作用があります(凝固因子増加・抗凝固因子減少)。
  • 糖尿病患者はもともと以下のリスクを抱えています:
    • 血管壁が硬化しやすい(動脈硬化)
    • 血液の粘度が高く、血栓ができやすい
    • 微小血管(腎臓・網膜など)が障害されやすい

そのため、エストロゲン製剤の投与は血栓や血管障害の進行リスクを高めるのです。


3. 血管病変があると起こりやすい合併症

血管病変 危険因子との関連 可能な合併症
糖尿病性腎症 エストロゲンにより血圧上昇・凝固亢進 腎機能悪化、腎不全
糖尿病性網膜症 微小血管障害が悪化 網膜出血、失明リスク増
末梢動脈疾患 動脈硬化+血栓 下肢虚血、潰瘍
心血管疾患(冠動脈・脳血管) 動脈硬化+凝固亢進 心筋梗塞、脳梗塞

血管病変がある糖尿病患者にトリキュラーを投与すると、重篤な血栓性・血管障害性合併症が起こりやすい


4. 臨床上のリスク評価

  • 糖尿病歴が長いほど血管障害リスクは増加
  • 血糖コントロールが不良だと血管障害進行が早い
  • エストロゲン製剤投与により:
    • 血栓性疾患(深部静脈血栓症、肺塞栓症、脳梗塞)
    • 微小血管障害の悪化(網膜症・腎症)

これらのリスクが通常よりも高くなるため禁忌となります。


5. 推奨される代替避妊法

血管病変のある糖尿病患者では、エストロゲンを含む避妊薬は避ける必要があります。

方法 特徴
プロゲスチン単剤ピル(ミニピル) エストロゲン不使用、血栓リスク低い
子宮内避妊具(IUD/IUS) 血栓リスクなし、長期避妊可能
コンドーム 血栓リスクなし、性感染症予防可能

6. まとめ

項目 内容
禁忌対象 血管病変を伴う糖尿病患者(糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症等)
禁忌理由 エストロゲンによる血液凝固亢進が、既存の血管障害を悪化させるため
危険合併症 血栓性疾患(脳梗塞、心筋梗塞、肺塞栓症)、腎症・網膜症悪化
医師の対応 エストロゲンを含む避妊薬は使用せず、非エストロゲン系避妊法を選択