にきび(尋常性挫瘡)の改善
ピルのにきび(尋常性挫瘡)への効果
にきびと呼ばれる挫瘡とは、顔面、胸背部の毛包、脂腺系でおこる脂質代謝異常、角化異常、細菌の増殖が組み合わさって関与する炎症性疾患です。にきびは体内のテストステロン(男性ホルモン)がDHT(ジヒドテストステロン)に変換され、これが皮脂腺のアンドロゲン受容体に結合し皮脂の産生が増えることでおこります。ピルは卵巣や副腎からのテストステロンの産生を抑えること、テストステロンがDHTに変換される際に必要な酵素(5α還元酵素)の作用を阻害するなどの機序によって、にきびを抑制する効果を持ちます。ピルのにきびに対する効果の発現は比較的ゆっくりで、効果が感じられるまでには3~6ヶ月はかかるとされています。米国など諸外国ではピルがにきび治療に適応できるとしています。しかし日本では(日本皮膚科学会)他の治療で改善が不十分で、結果的に避妊につながることを容認する成人女性のにきびに対して、ピルを使用してもよいが推奨はされないとしています。ピルの使用目的ににきびを含める場合は、日本では未承認の治療法であること、ピルの副作用に関するじゅうぶんな納得を得て使う必要があります。