マーベロンの禁忌: 授乳婦
「マーベロンの禁忌にある “授乳婦” とは?」について、添付文書の趣旨に基づいて医学的に正確かつわかりやすく解説します。
■ 「授乳婦」とは?
ここでいう授乳婦とは、
現在、母乳育児(授乳)を行っている女性
を指します。
つまり、
- 出産後で母乳を分泌している状態
- 乳児に母乳を与えている(完全母乳・混合母乳どちらでも)
場合は、マーベロン(複合経口避妊薬:COC)は禁忌です。
授乳の頻度や量によって区別せず、
医学的には“授乳中であれば禁忌”と判断されます。
■ なぜ授乳婦が禁忌なのか?
理由は大きく3つあります。
① 母乳量が減少する可能性
マーベロンはエストロゲンを含む経口避妊薬であり、
- エストロゲンは乳汁産生を抑制する作用があるため、母乳が出にくくなるリスクがあります。
授乳期の母乳栄養を損なうため、添付文書では禁忌扱いです。
※特に産後早期(6週間以内)は顕著
② 母乳中に薬が移行し、乳児へ影響する可能性
マーベロンの成分(エチニルエストラジオール・デソゲストレル)は、
- 乳汁中に移行することが知られています。
乳児への影響は十分に研究されていない部分もあるため、安全性が確立されていない以上、原則投与すべきでないという考え方です。特に生後3か月未満の乳児は薬物代謝が未熟であり、ホルモン曝露の影響(理論的には性分化への影響、肝機能負担など)が懸念されます。
③ 血栓症リスクが産後に上昇している
産後は自然に血液凝固能が亢進した状態がしばらく続きます。
そのため、
- エストロゲンでさらに血栓症リスクが上昇する可能性があり、安全性上、授乳期は使用が推奨されません。
この観点は、添付文書の禁忌で明確に示されています。
■ 実際の医療現場での取り扱い(実務)
◆ 授乳婦=禁忌
- 完全母乳でも混合でも授乳していれば禁忌です。
少量の授乳でも同じ扱いです。
◆ 授乳を終了したら?
- 授乳を完全に終了すれば禁忌は解除されます。
ただし、
- 産後4週以内
- 術後2週以内
- 長期安静など
他の禁忌条件に該当していないことを確認します。
■ 授乳中の避妊で推奨される方法(代替)
授乳中は、母乳・乳児への影響がないプロゲスチン単剤の避妊が推奨されることが一般的です。
例:
- ミニピル(プロゲスチン単剤経口避妊薬)
- 黄体ホルモンIUS(レボノルゲストレル子宮内システム)
- 避妊リング(銅IUD)
- コンドーム
など
これらは母乳量や乳児への安全性が確立されています。
※国ごとに承認状況が異なります。
■ グローバルガイドラインでも授乳婦のCOCは禁忌
WHO(世界保健機関)のMedical Eligibility Criteria(MEC)では、
| 授乳時期 | COCの安全性 |
|---|---|
| 産後6週未満 | 禁忌(使用不可) |
| 産後6週〜6か月(授乳中) | 使用不可 or 非推奨 |
| 6か月〜授乳終了まで | 使用不可(国により安全性判断) |
| 授乳終了後 | 評価の上使用可能 |
特に乳汁産生低下の問題から、
授乳中のCOC使用は世界的に推奨されていません。
■ わかりやすいまとめ
授乳婦=母乳を与えている女性全員
マーベロンは禁忌となります。
理由:
- 母乳量が減る
- 成分が母乳に移行し、乳児への影響が不明
- 産後の血栓リスクが高い
代替:
- ミニピル等のプロゲスチン単剤避妊剤
- IUD、コンドーム







