女性の性機能障害の治療

女性の性機能障害の治療方針

女性の性機能障害の治療は障害および原因により異なります。場合によっては障害の重複のため複数の治療法が必要となることがあります。診療を進めていく上での共感的な理解、および慎重な評価そのものが治療となることもあります。女性の身体に関して性的な解剖および生理について教えることも役立つことがあります。治療は医師だけではなく、カウンセラー、精神療法士など、チームでの対応が必要になることもあります。

  • 精神療法
  • 薬物療法
  • 物質・医薬品誘発性性機能障害には,乱用物質の中止または処方薬の変更
  • その他の治療法

精神療法

認知行動療法では婦人科疾患、不妊に起因する否定的な自己イメージを治療対象とします。
マインドフルネス(そこにある瞬間の自分の心身の状況に集中し、自分の思考・感情・行動などについて善悪の判断や評価をせず、ありのままを観察する方法)が役立つことがあります。問題になっているこだわりが何であるかを発見するのに効果的だからです。この方法は性的感覚への集中を邪魔しているものから女性を解放するのに役立ちます。認知行動療法は自分が持つ思い込みを特定するのに用いますが、マインドフルネスを用いて、それら思い込みの存在をひたすら観察し、それらが単なる誤った思い込みであって現実を反映したものではないことを理解させるよう促します。この方法はうつ病の再発を予防するために用いられることがあり、誘発性腟前庭痛の慢性疼痛だけでなく、性的興奮障害および性的関心・興奮障害にも適応できます。

薬物療法

エストロゲン療法は女性の性機能障害の治療に選ばれます。外陰および腟の萎縮性変化には低用量のエストロゲン腟内投与(腟錠、クリームなど)を用いることがあります。閉経期の血管運動症状(ホットフラシュ(火照り))を併発している場合は,低用量エストロゲンの全身投与またはエストロゲン + プロゲステロンを使うことがあります。また、性的関心・興奮障害を持つ閉経後の女性には、アンドロゲン療法が検討されます。ただしこの療法は慎重さが必要で、短期間での治療が行われます。

セロトニン受容体作動薬/拮抗薬であるフリバンセリン(flibanserin)は、抑うつ傾向のない閉経前女性の的欲求低下障害(HSDD)治療に用いられることがありますが、効果が確定的でなく時間もかかること、アルコールとの併用にも問題があります。女性版バイアグラとも俗に言われることはありますが、日本国内では認可されていません。

ブレメラノチド(bremelanotide)は,メラノコルチン受容体作動薬であり,女性の性欲減退の治療薬としてアメリカで承認されています。予定の約45分前に自分で注射をする必要があります。性欲を増す効果が一部あると認められてはいるものの、性的充足感を満たすものではないことが明らかになっています。また、この成分を含むとする化粧品などには購入に注意が必要です。

抗うつ剤の一種であるSSRIの使用から性的関心・興奮障害を持つようになった女性には、ブプロピオン(ノルアドレナリン-ドパミン再取り込み阻害薬)の追加摂取が有益となりうることを示唆する証拠はありますが、日本国内では承認されていません。また、SSRIの服用を開始してからオルガズムを得られなくなった女性に対して、男性のED治療薬であるシルデナフィルがオルガズムの回復に役立つ可能性があるとの指摘についても、まったく確立された治療法ではありません。

物質・医薬品誘発性性機能障害に対する治療

原因となっている処方薬の変更、または乱用物質の中止をさせます。

その他の治療法

性器-骨盤痛・挿入障害を有する女性に対しては、骨盤底の理学療法が治療として行われます。骨盤底を弛緩させ、反射による収縮を減らすことを目的としています。骨盤底筋トレーニング、筋膜リリース、電気刺激、および超音波療法などが行われます。また、性器-骨盤痛・挿入障害における性交痛の原因となる骨盤底筋の緊張がある女性は、処方および自身で購入する膣ダイレーター(刺入部や狭窄部を拡張するために使用する医療材料)を使うことが出来ます

潤滑剤および保湿剤は、性交痛の原因となる腟の乾燥を軽減させることができます。食用油および、シリコンベース、水性ベースの潤滑剤製品が使えます。食用油はコンドームと一緒には使えませんが、シリコン、水性の潤滑剤は併用できます。

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