レプチン(Leptin)とは、主に脂肪細胞(白色脂肪組織)から分泌されるホルモンで、食欲やエネルギー代謝の調節に重要な役割を持っています。
別名「満腹ホルモン」「脂肪ホルモン」とも呼ばれ、体内のエネルギー状態を脳に伝える信号として働きます。
分泌のしくみ
- 分泌源:脂肪細胞
- 主な作用部位:視床下部(弓状核)
- 働き:
- 血中レプチン濃度が高い → 脳に「エネルギー十分、もう食べなくてよい」と信号を送る
- 血中レプチン濃度が低い → 「エネルギー不足、食べてエネルギーを補給せよ」と信号を送る
- 体脂肪量に比例して分泌量が増加
主な働き
| 分類 |
働き |
補足 |
| 食欲抑制作用 |
視床下部のニューロンに作用して食欲を減少 |
NPY/AgRPニューロンを抑制、POMCニューロンを活性化 |
| エネルギー消費促進 |
代謝を上げて脂肪燃焼を促進 |
体温維持や基礎代謝向上に寄与 |
| 内分泌調節 |
性ホルモン分泌や生殖機能に関与 |
エネルギー不足時は生殖機能が抑制される |
| 免疫・炎症調節 |
一部免疫細胞に作用 |
炎症や免疫反応に関与する可能性 |
レプチンと体重・食欲の関係
- 体脂肪が増える → レプチン分泌増加 → 食欲抑制・エネルギー消費増加
- 体脂肪が減る → レプチン分泌減少 → 食欲増加・代謝低下
- しかし、肥満者ではレプチン抵抗性が起きることがあり、血中レプチンは高値でも食欲抑制が効きにくい
レプチン異常と影響
| 状態 |
特徴 |
| 低レプチン血症 |
食欲亢進、過食、体重増加、エネルギー不足による生殖機能低下 |
| 高レプチン血症(抵抗性) |
肥満でも食欲抑制が効かない、代謝異常、インスリン抵抗性の関与 |
臨床・研究での利用
- 先天性レプチン欠損症に対するレプチン補充療法
- 肥満・代謝異常、糖尿病研究で注目される
- 「食欲とエネルギー恒常性の鍵」として、生活習慣病予防の理解に重要
まとめ
| 項目 |
内容 |
| 名称 |
レプチン(Leptin) |
| 分泌部位 |
脂肪細胞(主に白色脂肪組織) |
| 主な作用 |
食欲抑制、エネルギー消費促進、代謝・生殖調節 |
| 分泌調節 |
体脂肪量に比例、空腹・栄養状態に応じて変化 |
| 臨床意義 |
先天性肥満、肥満・代謝異常、生活習慣病研究 |